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投稿者: sato_kanri_freearc
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【新築補助金2025】GX志向型で160万円&失敗しないために!

新築住宅で補助金160万円!?2025年はGX志向型住宅でお得に!ZEH水準と長期優良、GX志向型を費用比較!プロが補助金の最新情報、意外な落とし穴、住宅会社選びのポイントを徹底解説して理想の住まいづくりから暮らしの実現をサポートします!
2025年の新築住宅における補助金額と性能の概要

2025年の新築補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」注文住宅の新築についての補助額は次の表のとおりとなります。
補助対象住宅 1戸あたりの補助額 古屋の除却を伴う場合の
補助加算額ZEH水準住宅 40万円 20万円 長期優良住宅 80万円 20万円 GX志向型住宅 160万円 なし 対象要件の詳細 https://kosodate-green.mlit.go.jp/new-house/
この補助金には、対象となる世帯や住宅の性能、床面積をはじめとして様々な条件があるため上のURLで詳細を確認していただきたいのですが、ここでは戸建の住宅の性能、断熱性能等級と一次エネルギー消費量削減率を記します。
新築戸建て 寒冷地や多雪等域等を除く一般地
補助対象住宅 断熱性能等級 再生可能エネルギーを除く、一次エネルギー消費量削減率 再生可能エネルギーを含む、一次エネルギー消費量削減率 ZEH水準住宅 等級5以上 20%以上 - 長期優良住宅 等級5以上 20%以上 - GX志向型住宅 等級6以上 35%以上 100%以上 住宅の断熱性能等級は、1~7の7段階で評価され、数字が大きいほど断熱性能が高くなり、より高い省エネ効果が期待できます。
日本全国の市町村区を8つの地域に分類し、その地域ごとに断熱性能等級と各等級に応じたUA値が定められています。
このように住宅の省エネ性についてはZEH水準住宅と長期優良住宅は同条件になっていて、その上の基準にあるのが、GX志向型住宅になっています。
各補助金対象仕様の概算建築費用の比較

補助対象住宅と金額がわかったところで、各補助金対象住宅の概算建築費用をみていきましょう。
比較をするうえで、使用する断熱材や一部の省エネに関する機器以外は次のようなもので考えます。
・想定建築地域:地域区分6(東京都の過半の市町村区が地域区分6)
・木造総2階建て、延面積109.43㎡(33.10坪)
・オール電化住宅(エコキュート JIS効率3.5想定)
・屋根材:ガルバリウム鋼板
・外壁材:防火サイディング16mm金具止め(メーカー普及グレード想定)
・キッチン、システムバス、洗面化粧台 各1台ずつ(メーカー中間グレード想定)
・トイレは手洗い付き便器を2台(メーカー普及グレード想定)
・内装材:床と建具造作材をメーカー普及グレード、壁と天井はビニールクロス普及グレード
・LDKエアコン:性能い区分 他:設置しない
・居室、非居室共にLED照明(メーカー普及グレード)
・カーテン等(メーカー普及グレード)
・太陽光発電別途費用
・確認申請、地盤調査、敷地調査費含む
・その他の申請費、地盤改良、上下水引き込み、家具、家電、外構工事、その他別途費用
概算価格(税抜)
・ZEH水準住宅の概算建築費用 2,400~2,550万円
・長期優良住宅の概算建築費用 2,500~2,650万円
・GX志向型住宅の概算建築費用 2,600~2,750万円(+太陽光発電10kW程度で200万円前後)
※地域の人件費や狭小地などの立地条件、使用する材料などの様々な条件によりこの概算費用の範囲から外れる場合もあると思われますので、あくまでも概算費用として捉えてください。
ZEH水準と長期優良は断熱やエネルギー消費量削減率の条件は同じなのですが、長期優良住宅は省エネ性のほかに耐震性や建物の劣化対策などの条件があるため、ZEH水準よりも費用が高額になってきます。

GX志向型住宅には再エネ設備として太陽光発電がほぼ必須となり、その費用も上乗せになってきますが、買い切りではないリースのサービスもあるので、初期費用が抑えられる(もしくは掛からない)ようにもできるケースもあります。
意外な落とし穴!?これをしないとせっかくの高性能住宅が…

補助金対象になるGX志向型やZEH水準、長期優良住宅はその省エネ性能から、住んでからの快適性や光熱費削減の期待があります。
しかしUA値という断熱性能だけを求め、それ以外の大事なことが考えられていないと、断熱性能を高めれば高めるほど…なんてことになってしまうケースも十分考えられるのです。
これから挙げることはGX志向型だけでなく、ZEH水準や長期優良にも言えることですので、ぜひ目を通していただければと思います。
そもそもUA値とは?

UA値とは、平均外皮熱貫流率のことです。つまり建物の壁や天井(または屋根)、窓、床などの外気に接する面すべての断熱性の平均値で、この数値が小さいほど外気温の影響を受けにくいということになります。
ここで注目したいのは、平均という意味合いです。
平均ということは、その数値を紐解くと断熱性が高い部位もあれば低い部位もあります。
極端な例えを出してみます。
壁の断熱は内側+外側のダブル断熱で、厚みも合計20㎝あります!というものだとします。これはとても断熱性能が高く、省エネ効果が期待できます。

https://www.pgm.co.jp/200mm/case01.html
一方で窓は内外アルミ枠の一枚ガラスだとします。この仕様の窓は極めて外気温の影響を受けやすく、断熱性に乏しい窓と言わざるを得ません。

このようなダブル断熱という高断熱仕様の壁と、断熱性に乏しい窓の組み合わせだとしても、全体の平均値を求めるとほどほどなUA値に落ち着く場合が多いです。
これはおそらく実物件では無いような極端な例ですが、全体のバランスが大切ということをお伝えしたいのです。
このUA値、後述の日射の影響を受ける数値のηAc値とηAh値をもって、どのくらい省エネ効果があるのか、というのが大切です。
住宅部位ごとの断熱性能とバランス
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同じ室内温度でも、バランスのあまりとれていない断熱性能の部位があると、バランスのいい場合と比べて、室内温度と体感温度に差が出てきます。
更に、足元と頭でおよそ3℃を超える温度差になると不快感を覚える人が多くなる傾向にあります。また温度差が大きいと不快感だけではなく、自律神経の乱れにもつながる恐れがあるということも言われているため、そうならないようなバランスのいい部位ごとの断熱性能にしなければ、場合によっては快適な室内環境とは言えなくなってくるのではないでしょうか。

この部位ごとの断熱性能のバランスを取る一つの例として、国土交通省の出している「木造戸建て住宅の仕様基準ガイドブック」を見ると、壁と天井(または屋根)の断熱性能の比が壁1:天井(または屋根)2程度にすることが望ましいということが読み取れます。(地域区分によって比率に違いがあります)
国土交通省HP:資料ライブラリーより https://www.mlit.go.jp/common/001748733.pdf
このようなことをきちんと積み重ねていったUA値こそが、その数値で成せる快適性を実現することになっていくのです。
UA値の優れた住宅を設計する際には、住宅会社ごとに概ねこの比率だったり、或いは近い比率だったりに落ち着いているかとは思いますが、それが偶然そうなったのではなく、きちんと理解・言語化されてそうなっていることが重要だと思います。
日射との付き合い方の重要性と数値化

もうひとつUA値にまつわるお話をしたいと思います。
断熱性能についてお調べの方は、UA値が優れた建物は夏は涼しく冬は暖かい、という認識でいらっしゃる方がほとんどかと思います。これは間違いではありません。

外気温を室内に伝えにくく、室内の温度も外へ逃がしにくくできるため、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を実現しやすくなるのです。
一方で、以前お話しした【夏は涼しく冬は暖かい!】現役設計士が語る日差しを味方につける賢い設計術でお話ししたことのひとつに、夏の日射を遮ることの重要性がありました。

このような庇などで夏の日射を遮る工夫をしていないと、それは容赦なく窓から室内へ入り込みます。例え樹脂枠のトリプルガラスという高性能な窓だとしても、庇やシェード、ハニカムスクリーンなどの日射遮蔽部材で遮らなければ、容赦なく室内へ入り込みます。
そして、UA値が優れている建物は室内の温度を外へ逃がしにくくなります。つまり、太陽の暑い日差しで熱せられた室温が下がりにくいのです。

そうすると不快感があるので、冷房を強く設定するかと思いますが、当然電気も多く使います。
こうなってしまうと「せっかく断熱性能のいい家を建てたのに、夏も涼しく過ごせて高熱費も抑えられるんじゃなかったの…?」という結果を招くことも十分に考えられます。
そんな日射の取得を表す数値として、ηAc値とηAh値があります。
ηAc値:冷房期の平均日射取得率で、低いほど冷房が効きやすい
ηAh値:暖房期の平均日射取得率で、高いほど暖房が効きやすい
GX志向型住宅に限らずZEH水準住宅も、UA値のほかにこの値が同じくらい重要で、これらがおろそかになると前述のように、せっかくの高断熱住宅に不満を感じてしまう可能性があります。
ηAc値とηAh値が0.1違うと電気代はどのくらい変わる?

以下の条件で試算してみます。
木造総2階建て、延面積109.43㎡(33.10坪)
UA値:0.46W/㎡・K(東京都の過半の市町村が地域区分6・断熱性能等級6)
オール電化住宅(エコキュート※JIS効率3.5、LDKをルームエアコン、など)
電気代算出には設計2次エネルギー消費量の消費電力量を参照
電気量料金は東京電力スマートライフの各プランを参考に1kWhあたり34円で計算
ηAc値が0.1上がると 26kWh × 34円 = 884円/年UP
ηAh値が0.1下がると 30kWh × 34円 = 1,020円/年UP
家族構成、在宅の時間帯などの様々な生活形態によりますが、上のような条件では概算でこのような試算になります。
これはそれぞれ0.1の差がある場合に年間の電気代に換算したものになりますので、この差が0.2、0.3…となると、2倍、3倍、となっていき、更に住む年数を掛けることで長期的な電気料金の差になっていきます。

そしておそらく電気料金単価は今後も上がり続けるであろうと考えると、この試算より差が大きくなることも十分考えられます。
また、あくまでもこれは光熱費の差であり、暖冷房の効きにくさについての不快感は表せていません。
このため、この長期的に見た場合に発生するであろう電気料金の差(30年で少なくとも十数万円以上として)を住宅への初期投資として、庇やシェード、ハニカムスクリーンなどのような日射遮蔽部材を設置すれば、投資回収+快適度UPを十分見込めると考えます。
ηAc値、ηAh値はそれぞれどのくらいを目安にすればいいの?

ηAc値には地域区分ごとに基準があります。
地域区分 1~4 5 6 7 8 基準値 設定なし 3.0 2.8 2.7 6.7 (このようになっていますが、個人的にはかなり甘い基準に感じます…)
一方でηAh値には基準が定められていません。
これらの目標値ですが、
ηAc値:1.2以下
ηAh値:2.0以上
にできると暖冷房の負担がグッと減ると考えており、これを目指して設計をしたいです。(地域や敷地と周辺状況、建物形状、間取りのご要望などによって難しい場合も多々ありますが…)
このためには日差しと上手に付き合う設計や、方角に合わせた窓サイズもきちんと考慮・検討することが不可欠になります。
参考:【夏は涼しく冬は暖かい!】現役設計士が語る日差しを味方につける賢い設計術
住宅会社選びのポイント

ここまで読んでくださった方は、断熱性能を表すUA値のほかにも大事なことがあり、それがおろそかになるとせっかくの高断熱住宅が高性能ではなくなってしまう恐れがあると感じてくださったのではないかと思います。
今回の補助金を利用する際に確認したいことをまとめますので、これが住宅会社選びのポイントとして参考になれば幸いです。
①子育てグリーン住宅支援事業の補助対象住宅に対応しているか
②ηAc値を下げる工夫とηAh値を上げる工夫をどのようにしているか、その目標数値
③住宅の気密性を確保するためにどのような工夫をしているか、その目標数値
④窓からの風通しの工夫をどのようにしているか
これらのことを聞いてみるといいかと思います。
これらの質問に対して曖昧な表現にしてはぐらかすことなく、きちんとしたやり方や数値などを答えられる住宅会社を検討する候補に加えてみると、家づくりがよりよいものになるかもしれません。
これはあくまで私見ですがここで判断を急いではいけないと思うのが、
営業マンがこれを細かく答えられない = 不安だなぁ…
となることです。ここで設計職や技術職に社内の基準や施工を確認して、後日だとしてもきちんと回答できる会社は、裏方の設計職や技術職の方がしっかりしていると思えます。(曖昧な表現でやり過ごそうとするよりもよほど誠実に思えます)
ただ、確認したうえでもきちんとした回答がなかったり、曖昧な表現で返ってくるようであれば、建築の候補としては考え直してみることもときには必要かもしれません。
建築士としての経験上、省エネや快適な暮らしはUA値だけでは実現しないことを理解している会社は、これらの質問をした際にすべてきちんと答えられると思います。
なぜなら、これらのことは省エネや快適な暮らしの肝になることだからです。
この記事では触れていない気密についても同じく重要なことになるため、住宅会社選びのポイントとして追加しています。気密の重要性について、個人的に考える目標数値も含めて下のリンクも参考になれば幸いです。
【気密性の重要性!】断熱と同じくらい重要な気密のメリット・デメリットを現役設計士が解説
GX志向型住宅について私が感じていること
補助金を利用するための高断熱住宅?快適な暮らしのための高性能住宅?
昨今、住宅会社だけでなくお客様も建物の断熱性への関心が高まっていると言われており、私自身も日々の業務で実感しております。
これまで紹介したように今年2025年は、新たにGX志向型住宅(断熱性能等級6以上)に160万円の補助金が予定されているため、一層の関心の高まりを感じます。
少し前までは断熱性能等級6以上の建物商品を持っている、施工ができる住宅会社は少ない印象でしたが、この補助金に対応するため様々な会社が建物商品を掲げて「わが社でもGX志向型住宅の補助金を受けられます!」とアピールすることだと思います。
一方でこの補助金は、UA値や一次エネルギー消費量の削減率の基準は定められていますが、日射との付き合い方に直結する数値や気密性能を示す数値は定めていません。
つまりこれらをきちんと理解しないままに、補助金を受けるためだけに、その受注を逃がしたくないためだけにUA値のみを追い求めるという住宅会社が増えるのではないかと少々気になっているところです。
一次エネルギー消費量を削減できているということは、光熱費が抑えやすくなるということになっていくため、「日射との付き合い方を深く考えなくとも、うまいこといくのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、一次エネルギー消費量の削減=光熱費が抑えやすくなる、ということですが、この削減はグレードの高いエアコンや設備を多く導入することで解決できます。
しかし、エアコンや給湯器はおよそ10~15年を目安に買い替え時期がきて、その時に同じように高価な設備を入れる必要がある、なんてことになります。
それにこれでは、そもそも夏の日射熱が入ってくる、それにによるこもった暑さでの不快感の根本解決にはならないと考えます。
このため、私の経験上UA値はもちろんですが、日射の遮蔽や取得がきちんと考えられ、それが数値化されたものでなければ高性能住宅とは言えないと考えています。
補助金を利用するために高断熱住宅にするのか。
快適な暮らしを実現させるために高断熱だけでない高性能住宅を建て、そのために補助金を利用するのか。
どうかこの補助金を利用する方が長く快適に過ごせる住宅を手にできますよう、この記事がお役に立てれば幸いです。
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【夏は涼しく冬は暖かい!】現役設計士が語る日差しを味方につける賢い設計術

省エネで快適な住まいを実現するためには、断熱性や気密性が重要になります。そして並行して考えたいのが太陽からの日差し、エネルギーです。そこで今回は、「住宅の夏と冬の日差し」というキーワードで、現役設計士が日が当たることでのメリットとデメリット、そして日差しを味方につける賢い設計術をご紹介します。
目次
- 住宅における日差しの重要性
- 夏の日差しを遮る方法は?
- 冬の日差しを取り込む方法は?
- 新築だけではない、建売購入や既存住宅でもできること!
- まとめ
1.住宅における日差しの重要性
はじめに、「日当たりが良い家がいい」というのは多くの人が抱くイメージですよね。しかし、日当たりが良いことにはメリットだけでなくデメリットも存在します。
また、夏は日射しが強くて室温が下がりにくい、冬は日射しが弱くて室温が上がりにくい、これは季節ごとに誰もが感じることでしょう。だからこそエアコンなどの冷暖房機器で温度調整をして快適に過ごそうとします。
日当たりが良いことでのメリットとデメリットをきちんと理解し、日差しをうまくコントロールすることで、夏は涼しく冬は暖かくできたら、快適に過ごせるだけでなく省エネにもつながっていくのです。
日当たりが良いことのメリット

室内が明るくなり、心身に良い影響を与える
十分な太陽の光は心身に良い影響を与え、生活の質を向上させます。太陽の光を浴びることで、セロトニンという神経伝達物質が分泌され、心の安定や睡眠の質の向上に繋がり、またカルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にする効果も期待できます。
冬は暖かく、光熱費の節約に繋がる

太陽の光は自然の暖房効果をもたらし、特に冬は日差しを取り込むことで室温が上がり、暖房費の節約にも繋がります。
洗濯物が乾きやすい

日当たりの良い場所では洗濯物が乾きやすく、家事の負担を軽減できます。
日当たりが良いことのデメリット
夏は暑くなりやすく、冷房費がかかる

夏の強い日差しが入ることで室温が上がりやすくなり、冷房費がかかってしまうことがあります。
家具や床材が日焼けする可能性がある
長時間直射日光が当たることで家具や床材が日焼けし、変色してしまうことがあります。
2. 夏の日差しを遮る方法は?
日差しを遮るために有効な方法は、以下のようなことになります。
窓の位置と大きさを工夫する。特に東、西、北側の窓は不必要に大きくしない。

https://www.biz-lixil.com/column/business_library/article04_006
夏の太陽の動きは上の図のようになるため、東と西側の壁や窓には低い角度から日が当たります。
つまり、庇の効果はなかなか期待できないため、窓が大きいほど夏の暑い日差しが多く入り込み、室内の温度が上がりやすくなってしまうのです。このことから、外付けのブラインドなどが日差しを遮るのに有効ですが、そもそもは東と西側の窓は不必要に大きくしないことが大事になります。
北側は日が当たりが少ないものの、ほぼ日当たりのない冬と比べると無視はできません。また冬の場合になりますが、ほぼ日当たりが見込めないことから、窓が大きいほど熱が逃げていくことになるため、北側の窓も不必要に大きくしないことが大事と言えます。
軒や庇を活用する。南側が照らされる時間帯は、太陽高度が高めのため特に有効。
先程の夏の太陽の動きの図のとおり、南側が照らされる時間帯は太陽高度が高いことが分かります。

つまり、屋根の軒を出したり庇を設けたりすることで日差しを有効に遮ることができます。
また、屋根の軒を出したり庇を設けたりすると窓に直接雨が当たりにくくなり、窓が汚れにくくなる効果も期待できます。
ハニカムスクリーンやカーテン、ブラインドを使用する。
窓に設置するカーテンなどはプライバシー保護だけでなく、夏の日差し対策や冬の寒さ対策など重要な役割があります。
一般的に多く用いられているカーテン以外にも、ハニカムスクリーン(ハチの巣のような六角形の構造をしたスクリーンで、この構造が大きな特徴であり、日よけや断熱効果を補助します)や外付けのブラインドなどが挙げられます。
特に外付けブラインドなどの室外に設置する日よけ部材は、窓より外側で大幅に日差しを遮ることができるため、大きな日よけ効果があります。

https://www.asahi-kasei.co.jp/asu/learning/article012/index.html
室内に設置するカーテンなども日よけ効果がありますが、これらは窓より内側にあり、日差しは一度室内に入ってきてしまっているため、室外に設置する日よけの方が効果が高いのです。
ただし、室外に設置する日よけ部材は、窓が外側に開くタイプの場合は取付けが不向きだったり、金額が高い傾向にあったりするので、ケースにより室内に設置するハニカムスクリーンもおすすめします。
そして、実は夏の日射量は南側よりも東西側の方が多くなり、かつ太陽の高度が低いので、南側だけでなく東西側からも日差しを遮る工夫が重要になります。
高さのある樹木を植えると、壁に木陰ができる。落葉樹だと冬の日差しも取り入れやすくなるため、特に◎

https://www.asahi-kasei.co.jp/asu/learning/article012/index.html
夏の間、落葉樹は茂った葉を広げ、建物の窓や庭に直接太陽光が当たるのを遮ります。これにより、室温の上昇を抑え、冷房負荷を軽減することができます。
落葉樹は秋になると葉を落とす樹木です。この特徴により冬には葉が邪魔することなく、低い角度から差し込む太陽光を室内に取り込むことができ、暖房費の節約にもつながります。
3. 冬の日差しを取り込む方法は?
日差しを取り込むために有効な方法は、以下のようなことになります。
敷地の建物の配置を決める際に、隣地や周辺の状況を踏まえて、できる限り南側が広く空くように計画する。

敷地の南側をできる限り広く空けることは、日当たりをよくする上で最も重要になると言っても過言ではありません。
南側を空けることができると家自体にきちんと日が当たるようになり、家自体の日当たりが確保できるとこれから挙げることが活きてくるのです。
また、敷地の形状や車の駐車スペースにもよりますが、できる限り南側を空けるために図のように東西に長めの建物形状にすることも有効になります。東西に長い建物の方が、南北に長い建物よりも日差しが当たる面が大きくなるからです。
南側にLDKや寝室などの主要な部屋を計画する。
次は主要な部屋(以下、居室)の配置です。南側に居室を配置すると、太陽光を入れての自然暖房効果が得られやすくなるため省エネに繋がります。
場合によっては駐車場の計画や玄関へのアプローチよりも優先して考えるのことも必要になります。
例えば、先程の配置図のような場合だと、玄関は南側に設けたほうが道路からや車からの動線が短く済みますが、その分、南側に計画できるLDKの大きさが小さくなってしまうのです。
そのため、この場合は外の動線が少し長くなるものの、玄関を北側に設けてLDKを最大限南側に広げることを優先する設計としました。
もちろん物事には限度があるので、生活のしやすさや建物の大きさ、そのほかお客様のご要望など様々なバランスによりますが、場合によってはこのような計画・提案も大事になってくるでしょう。
南側に大きな窓を設ける。

このように南側に大きな窓を設けてあげると、居室に暖かな日が差してきます。
例えば東京都において、横幅1.6m×高さ2.0mの一般的な掃出し窓(面積:3.2㎡、日射熱取得率:0.47)から、きちんと冬の日差し(351Wh/㎡)が入った場合、
3.2㎡ × 351Wh/㎡ × 0.47=527Wh
となり、1時間当たり527W(電気ストーブ500W分以上)の熱を無料で自然から得ることができます。
地域によって日射量のばらつきはありますが、先程の窓サイズからきちんと日差しが入ると、1時間当たりで約300W~690Wの熱を得られることになり、大きな省エネ効果を期待できます。南側の窓の窓サイズや数が増えれば、得られる熱は更に多くなります。
ここで注意したいことが冬の昼間に南側窓のカーテンやブラインドを閉めてしまうと、せっかくの暖かな日差しが入ってこなくなってしまうということです。

特に不在のときはカーテンを閉める方が多いかと思いますが、自然の暖房を得るためにも開けたままにしていただきたいです。
プライバシーが気になる方は、目隠しのフェンスを設けたり植栽を植えたりといった外構の工夫で考えてみるといいかもしれません。
(敷地の南側を空けることができれば、自ずと人の目線から家の中も遠ざかるというメリットもあります)
不在のときに防犯用に窓のシャッターを閉める場合などは防犯優先になるかと思いますが、在宅のときはできるだけシャッターを開けておくと、省エネに繋がることを覚えていていただきたいと思います。
一方で、大きな窓は夏の暑い日差しもたくさん入れてしまうことにもなるため、屋根の軒や庇、日よけ部材などでしっかりと日を遮ることも重要です。


夏の日差しを遮るために軒や庇を設けた場合でも冬は太陽高度が夏よりも低いため、日差しを遮ることなく、取り込むことができます。
4.新築だけではない、既存住宅や建売購入でもできること!
ここまで新築設計を基本としたお話をしてきましたが、いまお住まいの住宅や、購入を検討している建売住宅にもできることがありますので、ご紹介したいと思います。
後施工ができる外付けシェードや庇を設置する

https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/exterior/outershade
これらの外付けシェードや「2. 夏の日差しを遮る方法は?」でご紹介しました庇は、室内に入る前に太陽熱を遮ってくれるため、室内温度の上昇を抑え、冷房負荷を軽減してくれます。また、紫外線もカットしてくれるため、日焼けによる建材や家具の劣化を防いでくれたり、シェードは外からの視線を遮ったりもしてくれます。
このシェードや庇には家が完成した後も施工ができる商品があるため、新築だけでなく、お住まいの住宅や購入を検討している建売住宅にも使用することができます。
内窓(インナーサッシ)を設置する

内窓とは、既存の窓の内側に後から取り付けられる窓のことです。二重窓とも呼ばれ、外窓と内窓の間に空気層ができることで、夏の日射を遮る効果や断熱効果を高めることができます。
そのほかにも防音効果があったり、窓の結露も抑えることもできます。
この内窓設置工事については2024年現在、国からの補助金を受けられる場合があるため、検討してみるといいでしょう。
(予算状況や工事時期、その他条件により交付の可否がありますのでご注意ください)
先進的間取リノベ2024事業 https://window-renovation2024.env.go.jp
このほかにも、上の「2. 夏の日差しを遮る方法は?」でご紹介した室内設置のハニカムスクリーンや、庭に植樹するというのも有効です。
お住まいの住宅や建売住宅は、日差しを取り入れるために南側に居室を配置して大きな窓を設ける、という工夫がされている一方で、相反する夏の日差しを遮るということがあまり考慮されていないケースもあるかと思います。(特に建売住宅に多いように感じます)
そのようなケースでも工夫することで、日差しと上手な付き合い方ができるのです。
5.まとめ
日差しをうまくコントロールすることで、省エネで快適な住環境を実現することができます。
逆に日差しをうまくコントロールしないと、夏は日差しを遮らないと窓からたくさんの光と熱が入ってきて、電気ヒーターのような暖房を点けながら冷房をするというなんとももったいない状態になってしまうのです。
また、冬の日差しは無料で手に入る暖かいエネルギーになりますので、活用できればできるほど省エネ効果を期待でき、昼間に取り入れた熱は室内に蓄えられるので、日が落ちてからも省エネ効果が期待できます。
今回紹介した設計テクニックを参考に、夏は涼しく、冬は暖かく、省エネな住まいを設計してみてはいかがでしょうか。
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【気密性の重要性!】断熱と同じくらい重要な気密のメリット・デメリットを現役設計士が解説

快適な住環境を実現し、光熱費を節約するためには、断熱性と並行して住宅の隙間を減らす気密も同じくらい重要です。
本記事では現役設計士が断熱と気密の重要性について解説し、そのメリット、デメリット、気密性能を高める方法なども詳しく紹介していきます。高性能住宅の購入を検討されている方はぜひ参考にしてください。
気密とは?

住宅の気密とは、隙間を減らして外気の出入りを防ぐことです。隙間が多い住宅は冬は冷たい外気が入り込み、夏は涼しい空気が逃げてしまうため、冷暖房のエネルギー消費が多くなってしまい光熱費が高くなります。
気密性を高めることで、光熱費を抑えやすくなるなどのほかに様々なメリットがあり、快適な住環境を実現し光熱費を節約するために非常に大事なことなのです
そして、気密性を表す数値として、C値(シー)があります。
C値とは?
気密性能はC値で表され、「相当隙間面積」とも呼ばれます。簡単に言うと、住宅全体にどれくらいの隙間があるかを示すもので、C値が小さいほど隙間が少なく気密性が高いことを意味します。
ちなみに、断熱性能等級は地域ごとに数値で細かく設定されていますが、実は気密性のC値は基準が定められていないのです。
そのためか、住宅会社が断熱性能等級の高さをアピールすることがあっても、気密性についてアピールする会社はそれほど多くないというふうに現役で住宅業界に身を置く設計士として感じてしまいます。
C値の目安
上でも書いたようにC値の基準は定められておらず、住宅メーカーごとの考え方や基準によります。木造住宅のC値は、概ね1.0㎠/㎡以下で高気密住宅と言われておりますが、現役設計士で現場の施工管理を経験をし、さまざまな気密部材や施工方法も含めて積算、費用対効果を検討した私の意見としては、建築予算が許されるのならC値0.5㎠/㎡以下を高気密住宅の目安としたいところです。
気密部材やそれを使った施工は費用が掛かかるが効果が高い、というものもあれば、建築中の各工程でどこに隙間が生じやすいかを押さえておけば低コストで効果を得やすい箇所とそのやり方もあるので、あとに書きます「5.気密性を高める方法は?」もぜひご覧ください。
C値の具体例

C値1.0㎠/㎡の場合、延面積100㎡(約30.2坪)の住宅であれば、住宅全体で100㎠(約0.7枚のハガキ)分の隙間があることになります。
C値0.5㎠/㎡の場合、延面積100㎡(約30.2坪)の住宅であれば、住宅全体で50㎠(約0.35枚のハガキ)分の隙間があることになります。


C値で示す隙間には、換気のための給排気口などのそもそも開いていることが前提の孔は除かれます。つまりこの隙間は、窓周りや壁の隙間、コンセントやスイッチの周り、そのほかの設備配管や電気配線によって開けられた通常塞がれるべき孔や隙間のことで、工事が進むにつれて目に見えなくなっていき、完成後はほとんどの箇所が見えなくなります。

完全に隙間をなくすことは極めて難しいためC値を0㎠/㎡にすることはできないと思われますが、工事の工程上で発生する孔や隙間を把握しておき、それを適切に塞ぐことで気密性を高めていくことができます。
C値の測定の仕方と行うタイミング

https://www.njkk.co.jp/blog/?itemid=50&dispmid=764
C値測定は、専門の測定機器を用いて行われ、一般的にブロアードアテストと呼ばれます。住宅の全ての窓やドアを閉め、換気扇などの開口部をふさぎ、測定機器をドアや窓に取り付けます。
測定機器を使って、住宅内から空気を外部へ排出し、このとき住宅内の気圧が低下し、隙間から入り込んできた空気の量を測定し、C値を算出します。
測定のタイミングは工事完了後に行う場合もありますが、もしこの測定で目標となる数値が出なかった場合、工事がすべて終わっているため、隙間をふさぐことが非常に難しい箇所が多くあります。


そのため、断熱材と気密部材が施工されたタイミングで測定するといいでしょう。もしこの測定で目標となる数値が出なかった場合でも、隙間を見つけてそこをふさぐことが比較的簡単だからです。基本的には完成後に見えなくなる断熱材や気密部材の施工前に測定することは、お勧めできません。
気密と断熱の関係性は?

気密と断熱は、密接な関係にあります。断熱性能が高い住宅であっても、気密性能が低ければ、せっかくの断熱性能が活かせません。例えば、冬にダウンジャケットを着ていても、そのチャックを閉めなければ、閉めた時と比べると暖かさを感じにくいかと思います。
逆に、気密性能が高い住宅であっても、断熱性能が低ければ室温が安定せず、光熱費が高くなります。

高気密高断熱住宅とは、断熱性能と気密性能を両立させた住宅です。高気密高断熱住宅は、冬は暖かく、夏は涼しく、快適な住環境を実現できるだけでなく、光熱費を大幅に節約することができます。
断熱性を高めることは重要ですが、このように住宅の隙間を減らす気密も同じくらい重要なのです。しかし、住宅会社が断熱性能等級の高さをアピールすることがあっても、気密性についてアピールすることはそれほど多くないように感じてしまいます。気密性についても、施工とC値の実績をきちんと公開している住宅会社を探して、依頼を検討してみるといいでしょう。
気密性を高めるメリットは?
気密性を高めることで以下のようなメリットがあります。
光熱費の節約

隙間からの漏気が減って、隙間風の寒さや暑さを感じにくくなるだけでなく、冷暖房の効きがよくなって光熱費を大幅に節約することができます。
結露やカビの抑制


室内や壁内への湿気の流入を防ぐことができるので、結露やカビの発生を抑制することができます。結露というと、窓に水滴がついていることを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。気密性を高めるとそれも抑制できるのですが(断熱性の高い窓を採用することも重要です)、もっと恐ろしいことは、壁の内部という見えないところで結露が発生するということです。気密性が低いと湿気が壁の中に入り、温度環境によって結露が発生してしまう恐れがあります。
例えば、冬の暖房された室温20℃の空気に相対湿度50%の湿気が含まれていたとして、それが壁の隙間から壁の中にその湿気が入り、約9.6℃以下に冷やされてしまうと、湿気(水蒸気)は水滴となり結露してしまいます。
この例は壁の断熱性を高めることも重要ですが、並行して気密性を高めることで結露による建材や建物の劣化を抑制し、住宅の寿命を延ばす効果が期待できます。
健康へのメリット


隙間風に乗ってくる花粉などの侵入を抑制するだけでなく、結露やカビを抑制できることによるアレルギー症状の緩和が期待できます。
また、高断熱と高気密の組み合わせによる相乗効果が室温の安定化に繋がり、ヒートショックなどの健康被害リスクを低減することができます。
音環境の改善

外部からの音は住宅の隙間からも室内へ入ってきますが、気密性能が高いことで外部からの騒音を遮断し、静かな室内で団らんの時間をゆっくり過ごしたり、睡眠を妨げられることを減らしたりも期待できます。
気密性を高める際のデメリットと対策は?
上に書いたメリットとは反対に、気密性を高めることで以下のようなデメリットもあります。
初期費用が高くなる

気密材施工に材料や技術が必要となるため、建築費用が高くなる傾向にあります。
しかし、気密性を高める工事は建築中にしかできなかったり、完成後だと難しくなったりするため、予算が許されるのであれば積極的に考えてほしいことではあります。
数万円~数十万円かかる工事もあれば、低コストで効果を得やすい箇所とそのやり方もあるので、あとに書きます「5.気密性を高める方法は?」もぜひご覧いただきたいと思います。
換気計画が重要

https://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/ja/air/products/ventilationfan/about/detail_02_p.html
気密性が高い住宅は隙間からの漏気が少ない一方で、反対に室内の空気が隙間から出ていかずにこもりやすくもなるため、空気の通り道を含めた換気計画が重要となります。
これらのデメリット対策には、断熱だけでなく、気密施工の要点をきちんと理解していてその実績がある、換気計画をきちんと立ているといった住宅会社を選び、適切な施工を行うことが重要です。住宅検討から住宅会社の決定までの期間にゆとりを持つことが必要になります。
気密性を高める方法と実際の金額は?
気密性を高めるためには、建築の工程上どこに隙間が発生するかをきちんと把握し、それをどうやって塞ぐかを押さえておく必要があります。
工程上で注意したいいくつかの箇所とかかる概算の費用(木造総2階建て、延面積100㎡(約30.2坪)で検討)を以下に紹介したいと思います。
※費用は各住宅会社により、使う材料や施工の仕方によって金額は様々です。あくまで概算として捉えてください。
配管や配線の貫通部

費用:約数千円~3万円程度
基礎や床下からの配管孔や配線の周りは隙間ができやすい箇所なので、しっかりと断熱材やシーリングで隙間埋めの処理を行いましょう。
ただし、配管や配線の貫通部のすべてを隙間埋めするというのは費用がかかるだけで、多数の部分にほぼ効果の見込めないということになってしまいます。
隙間埋めをするのは、下の図のような断熱・気密を施工する基礎や床、壁、天井、屋根を貫通する部分が基本になります。

https://www.jfe-rockfiber.co.jp/construction/method.html
基礎と土台間の気密パッキン


費用:数千円~2万円程度
気密パッキンとはそもそも気密性を確保するための部材ですが、1本あたりが決まった長さになっていて、施工する長さが長い場合は、複数の気密パッキンを継いで施工していきます。
この継ぎ目や、出隅と入隅の部分に隙間ができやすいため、コーキングで塞ぐことが有効です。
外周耐力面材(施工する場合)の周りと窓周り

費用:8~12万円程度

費用:5~8万円程度

費用:5~8万円程度
このように耐力壁として躯体外周部に耐力面材を施工する際に、木造躯体と耐力面材の間に気密用のパッキン材を施工したり(画像1枚目)、木造躯体に耐力面材を施工した後に面材同士の継ぎ目に気密テープやブチルテープを貼ったり(画像2枚目)することも有効です。
この方法を2通り試したことがあり、どちらかというと前者のほうがより効果を感じられましたが、後者のほうも気密測定時に効果を感じましたので、ご予算に応じて選択がいいでしょう。
また、窓を木造躯体に取り付ける際に、その取り付け面にどうしても隙間が生じやすくなります。それを解消するために窓が躯体に取り付く範囲に気密用のパッキン材を施工すること(画像3枚目)も有効です。
コンセントの気密カバー

費用:1万数千円~3万円程度
断熱・気密材を施工する壁にコンセントやスイッチのボックスを施工する際に、このような気密カバーを使用することも有効です。費用も約30坪の住宅1棟あたりでこのくらいでできるため、検討しやすいかと思います。
ここで注意したいのは、この気密カバーをただ使用するだけでなく、配線が気密カバーを貫通した部分はきちんとシーリング等で隙間を埋めることも重要です。
気密フィルムの施工


費用:25~35万円程度
天井や壁全体に防湿気密フィルム(シート)を貼ることでより高い気密性を確保できます。この際に、フィルムの継ぎ目や端部、コンセントカバーや配管孔の周りに気密テープを貼ることを忘れてはいけません。
このフィルムの工事は施工面積が大きいため、おそらく気密工事において一番費用が大きくなってしまうかと思います。しかし、この施工はとても重要で高い効果も期待できるため、積極的な採用を検討してほしいと思います。
引き違い窓とすべり出し窓

https://www.ykkap.co.jp/consumer/search/products/window
引き違い窓とすべり出し窓にも気密性の違いがあり、一般的な引き違い窓と比較すると、すべり出し窓のほうが閉めたときに窓建具とサッシ枠にピッタリとくっつき、気密性が高まります。
またすべり出し窓の場合、窓の配置と開く方向をきちんと検討することで、外の風をキャッチしやすくなり、窓を開けたときの風通しがぐんとよくなります。
まとめ

気密と断熱は、快適な住環境を実現し、光熱費を節約するために非常に重要です。高気密高断熱住宅は、これらのメリットがある一方で、初期費用が高くなるなどのデメリットや計画、施工の難しさもあります。高気密高断熱住宅を検討する際には、メリットとデメリットを理解した上で、信頼できる住宅会社を選ぶことが重要です。
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快適な住まいを実現する鍵!断熱性能等級を高めるメリットとデメリットを費用と共に徹底解説
近年、地球温暖化対策やエネルギーコスト上昇への関心が高まる中、住宅の断熱性能はますます重要になっています。断熱性能の高い住宅は、光熱費を節約できるだけでなく、快適な室内環境を実現し、健康にも良い影響を与えます。本記事では、断熱性能等級とは何か、そのメリット・デメリットについて現役設計士が解説します。
目次
- 断熱とは?
- 断熱性能等級とは?
- 断熱性能等級を高めるメリットは?
- 断熱性能等級を高めるデメリットは?
- まとめ
断熱とは?
断熱とは読んで字の如く「熱を断つ」ことで、断熱性能とは建物が外の暑さや寒さをどれくらい伝えにくくできるかを示す性能のことです。

住宅の断熱性能は冷暖房効率に大きく影響し、断熱性能が高い住宅は外気温の影響を受けにくく、冬は暖かく夏は涼しく過ごせるため、冷暖房にかかるエネルギーが少なく済み、その結果光熱費を大幅に節約できるのです。
そして住宅の断熱性能を表す数値として、UA(ユーエー)値があります。
UA値とは?
外皮平均熱貫流率の略称で、家の表面から平均でどのくらいの熱が出入りするかを表す数値です。
UA値が小さいほど、熱の出入りが少ないということになり、断熱性能が高いと言えます。
本記事の次に出てくる「2.断熱性能等級とは?」にもあるのですが、日本全国の市町村区を8つの地域に分類し、その地域ごとに断熱性能等級と各等級に応じたUA値が定められています。
例えば東京23区は6地域に分類され、
0.87以下:省エネ基準適合住宅。現行法(令和6年8月時点)で定められた最低限の断熱性能を満たす住宅(断熱性能等級4)
0.60以下:高断熱住宅。一般的な住宅よりも高い断熱性能を持つ住宅(断熱性能等級5)
0.46以下:高性能住宅。現行法の省エネ基準を大幅に上回る高断熱な住宅(断熱性能等級6)
UA値(W/㎡・K)と断熱性能等級の関係はこのようになります。
断熱性能等級とは?
住宅の断熱性能等級は、断熱性能1~7の7段階で評価され、数字が大きいほど断熱性能が高くなり、より高い省エネ効果が期待できます。

https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_knowhow/dannetsutokyu
2025年度以降は全ての新築住宅に等級4以上が義務化され、一時は最高等級だった等級4は実質、最低等級になることが予定されています。
また、2030年以降は新築住宅すべてに断熱性能等級5以上の適合が義務化される予定です。
上の表にある地域区分とは、日本全国の各市町村区が大きく8つの地域に分類されているもので、その地域ごとに断熱性能等級と各等級に応じたUA値が定められています。

https://www.ykkap.co.jp/consumer_business/satellite/law/area-classification
例えば、北海道夕張市は1地域、東京23区は6地域に分類されます。
そこで、どちらにもUA値0.46W/㎡・Kの家を建てる場合、1地域においては断熱性能等級4となり、6地域においては断熱性能等級6ということになります。
これは寒い地域になるほど地域区分の数字が小さくなり、それに伴ってより断熱性能の高い家(UA値の小さい家)でないと、より高い省エネ効果が期待しにくいということです。
断熱性能等級を高めるメリットは?
断熱性能等級を高めると以下のようなメリットがあります。
光熱費の大幅削減

断熱性能の高い住宅は、外気温の影響を受けにくくなり夏は涼しく冬は暖かいので、冷暖房の使用量を大幅に減らして光熱費を節約することができます。
私は個人的に「性能を高めるためのコストアップは、将来にかかる光熱費の先払い」と考えています。
断熱性能の高い高性能住宅を建てることは、標準的な性能の住宅を建てるよりも初期の建築コストが上がることではありますが、お住まいになってからの光熱費を抑えてくれるため、先に光熱費(性能アップのためのコスト)を払っておけば後からかかる光熱費が少なく済む、という考え方です。
残念ながらこの先、光熱費の単価が下がることは考えにくいでしょう。そうなると将来的に光熱費単価が上がっていった場合、断熱性能の高い住宅とそうでない住宅とでは支払う光熱費に更なる開きが生じてきます。
またこの3つ後に書くように、住宅の資産価値も上がる可能性もあるため、ご予算が許すのであれば断熱性能等級の高い(現役設計士としては等級6以上を目指したいところです)住宅をご検討いただきたいです。
快適な室内環境の実現

断熱性能の高い住宅は、室内の温度変化が少なく、一年中快適な室内環境を維持しやすくなります。
夏は暑さを遮断し冬は暖気を逃がさないので、冷暖房の効きが良くなり快適に過ごせます。
健康リスクの低減

断熱性能の高い住宅は、室内温度差が小さくなるため、ヒートショックのリスクを低減することができます。ヒートショックとは、急激な温度差によって血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中などの発作を起こすことを指します。特に高齢者はヒートショックのリスクが高いため、断熱性能の高い住宅は健康維持にも効果的です。

またヒートショック対策のほかにも、断熱性能の高い住宅に転居した場合の例として喘息やアトピーなどのさまざまな健康改善効果が期待できます。
ほかには、寒い時期も室内の温度が一定に保たれやすくなるため、単純に風邪をひきにくくなるでしょう。そうすると、医療機関に掛かることや薬を買うこと、延いては仕事を休む機会(欠勤による収入ダウン)が減るため、その分の生活コストも抑えられることになります。
このように、断熱性能等級の高い家に住むということは、健康リスクの低減や健康改善効果が期待でき、よって体調を崩した場合の出費も抑えることができるのです。
住宅資産価値の向上

断熱性能の高い住宅は省エネ性能や快適性が高いことから、住宅資産価値が向上する可能性があります。
そのため、例えば将来住宅を売却する際に、より断熱性能が高い住宅は査定価格が高くなる可能性があります。
断熱性能等級を高めるデメリットは?
断熱性能等級を高めようとすると、以下のようなデメリットもあります。
施工についての難易度

断熱性能の高い住宅を建てるためには、高度な施工技術や幅広い知識が必要となり、そのため、施工できる業者数が限られていたり、工期が長くなったりする可能性があります。
住宅会社選びが重要となり、住宅検討から住宅会社の決定までの期間にゆとりを持つことが必要です。
住宅会社探しの際に、断熱性能等級はもちろんですが、気密性の自社基準、夏と冬の両方の太陽光との付き合い方などをぜひ聞いてみてください。
そこできちんとした数字や計画が返ってくる会社を建築依頼する候補にしてみるものひとつではないでしょうか。
初期費用(建築コスト)の増加

増額費用:約150~250万円(税抜)UP (木造住宅 総2階建て 延面積:100㎡(約30.2坪)の場合)
現役で住宅業界に身を置く私の肌感として、2024年現在に多く建てられているであろう標準的な住宅(断熱性能等級5)と比べて、より断熱性能の高い住宅(断熱性能等級6)を建築する場合は約10~20%程度の建築コストがアップし、断熱性能等級7を目指す場合は更に高くなります。
これは、断熱性能の高い住宅は、断熱材や高性能な窓などの建築材料が高価だったり、施工の工程が増えるたりするため、初期費用(建築コスト)が高くなるのです。
しかし先程書いてきたように、光熱費の削減や健康リスクの低減(医療費の削減)、住宅の資産価値向上などのメリットを考えると、長期的な視点でみるとお得な場合もあります。
また、国や都道府県などからの補助金を受けられる場合もあるため、総合的にデメリット以上にメリットがあると私は考えております。
まとめ
断熱性能等級は、住宅の快適性や省エネ性能(光熱費の削減)、健康などに大きな影響を与える重要な指標です。

断熱性能等級を高めることで、光熱費を節約したり、快適な室内環境を実現したり、健康リスクを低減したりすることができます。一方で、初期費用増加や施工方法の制限などのデメリットもありますが、それを上回るメリットが得られるものと私は考えております。
より良い住まいを実現するために、ライフスタイルや予算などを考慮しつつ、断熱性能等級の高い住宅の建築をぜひご検討いただきたいです。
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住宅の断熱性能等級とは

近年、地球温暖化対策やエネルギーコスト上昇への関心が高まる中、住宅の断熱性能はますます重要になっています。そこで今回は、現役設計士が住宅の断熱性能を表す指標である「断熱性能等級」について分かりやすく解説し、快適で省エネな住まいを実現するための情報を提供します。
住宅の断熱と断熱性能等級とは?

住宅の断熱性能は、冷暖房効率に大きく影響します。断熱性能が高い住宅は、冬は暖かく、夏は涼しく過ごせるため、冷暖房にかかるエネルギーが少なく済みます。
住宅の断熱性能等級は、1~7の7段階で評価され、数字が大きいほど断熱性能が高くなり、より高い省エネ効果が期待できます。

https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_knowhow/dannetsutokyu

https://www.ykkap.co.jp/consumer_business/satellite/law/area-classification
2025年度以降は全ての新築住宅に等級4以上が義務化され、一時は最高等級だった等級4は実質、最低等級になることが予定されています。
また、2030年以降は新築住宅すべてに断熱性能等級5以上の適合が義務化される予定です。
各断熱性能等級の違い
- 等級1 昭和55年 省エネ基準未満
断熱材の使用が義務化されていないため、断熱性能が最も低い等級となります。
冬は寒く、夏は暑くなりやすいなど、室温が大きく変動しやすく、光熱費が高くなりやすいのが特徴です。
- 等級2 昭和55年 省エネ基準と同等
壁や天井に断熱材をし、熱損失等の小さな削減のための対策がされています。
等級1ほどではなくとも冬は寒く、夏は暑くなりやすいなど、室温が大きく変動しやすく、光熱費が高くなりやすいのが特徴です。
- 等級3 平成4年 省エネ基準と同等
熱損失等の一定程度の削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱材を使用しています。
等級2以下より冬は暖かく、夏は涼しく過ごせますが、等級4以上よりも光熱費が高くなりやすいのが特徴です。
- 等級4 平成28年 省エネ基準と同等
熱損失等の削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱材を使用して、開口部(窓やドア)の断熱性能も向上させる必要があります。
等級3以下より光熱費を抑えやすく、省エネ効果が実感しやすいのが特徴です。
2025年度以降、全ての新築住宅の最低基準の等級となる予定です。
- 等級5 ZEH水準の省エネ基準と同等
熱損失等の大きな削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱性能等級4よりもさらに性能の高い断熱材を使用し、開口部(窓やドア)の断熱性能も向上させる必要があります。この等級がZEH(ゼッチ)の基準となります。
断熱性能が高く、冬は寒くなりにくく、夏は暑くなりにくくなり、省エネ効果が期待できます。
2030年度以降、全ての新築住宅の最低基準の等級となる予定です。
(現役設計士としての感覚ですが、地域によってはこの等級までの断熱性能を実現することは技術面、コスト面共にそれほど難しくないように感じます)
- 等級6 平成28年 省エネ基準より冷暖房にかかる1次エネルギー消費量を概ね30%削減
熱損失等の著しい削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱性能等級5よりもさらに性能の高い断熱材を使用し、開口部(窓やドア)の断熱性能も向上させる必要があります。
等級5よりも断熱性能が高く、冬は寒くなりにくく、夏は暑くなりにくくなり、より大きな省エネ効果が期待できます。
- 等級7 平成28年 省エネ基準より冷暖房にかかる1次エネルギー消費量を概ね40%削減
熱損失等のより著しい削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱性能等級6よりもさらに性能の高い断熱材を使用し、開口部(窓やドア)の断熱性能も向上させる必要があります。
等級6よりも更に断熱性能が高く、冬は寒くなりにくく、夏は暑くなりにくくなり、より大きな省エネ効果が期待できます。
断熱性能等級を上げる方法
- ・壁、天井、床などの主要な部位ごとに性能の高い断熱材を適切な厚さで採用することが重要です。


断熱材には、グラスウールなどの繊維系断熱材、ポリスチレンフォームなどの発泡プラスチック系断熱材があります。それぞれの断熱材に良さがあり、その良さを活かす施工も重要になります。
- ・断熱性の高い窓や玄関ドアを採用し、不必要に窓を大きくしないことも重要になります。

窓は住宅の中で最も熱の出入りがある部位となり、トリプルガラスといった高性能な窓でも、壁などの部位に採用する断熱材よりも熱を通しやすい傾向があります。
断熱性能等級に関するQ&A
Q1:断熱性能等級の高い住宅は、建築費用が高くなる?

A1:高い断熱性能等級を求めると、断熱材を厚くしたり断熱性の高い窓を採用したりすることになり、材料費や施工費が高くなる傾向があります。ただし、光熱費の節約や住宅の資産価値向上などのメリットを考えると、長期的な視点でみるとお得な場合もあります。また、補助金を受けられる場合があります。
Q2:断熱性能等級を上げるリフォームは可能?
A2:リフォーム工事でも断熱性能等級を上げることが可能です。ただし、既存の住宅に断熱材を追加したり、気密性能を向上させたりするなどの工事が必要となるため、新築よりも費用の割合が高くなる傾向があります。リフォーム工事も補助金を受けられる場合があります。比較的簡単にできる断熱リフォーム工事として、既存の窓の内側に内窓を設置する方法があります。

まとめ
住宅の断熱性能等級は、快適で省エネな暮らしを実現するために重要な指標です。断熱性能等級の高い住宅は、光熱費を節約し、環境負荷を低減することができます。
また、断熱性能を上げるだけでなく、気密性を高めることや夏や冬の日差しとの上手な付き合い方も重要になってきます。せっかく断熱性能を上げても隙間が多い住宅になってしまったり、夏の暑い日差しが窓から入ってきてしまったりすると省エネ性が低くなってしまいます。
新築やリフォームを検討している場合は、間取りやデザインのほかに、これらについても検討することをおすすめします。
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【現役設計士が解説!】光熱費と断熱性の関係、断熱材、断熱等級について

夢のマイホームを検討している皆さま、新築後の光熱費は気になりますよね?近年、光熱費の上昇が続いており、家計への負担は大きくなっています。
そこで今回は、光熱費と家の断熱性(UA値)の関係や断熱材、断熱性能等級について、現役設計士が解説していきます。
光熱費と家の断熱性(UA値)の関係や断熱材、断熱性能等級とは?
光熱費と断熱性能の関係

断熱とは、読んで字の如く「熱を断つ」ことで、断熱性能とは、建物が外の暑さや寒さをどれくらい伝えにくくできるかを示す性能のことです。
断熱性能が高い住宅は、冬では外の寒さが室内に伝わりにくく暖房で温めた温度が外に逃げにくいため暖かく、夏では外の暑さが室内に伝わりにくく冷房で冷やした温度が外に逃げにくいため涼しい室内環境を保ちやすくなります。つまり断熱性能の高い家は、外気温の影響を受けにくいため、暖房や冷房の効きが良くなります。その結果光熱費を大幅に節約できるのです。
そして住宅の断熱性能を表す数値として、UA(ユーエー)値があります。
UA値とは?

外皮平均熱貫流率の略称で、家の表面から平均でどのくらいの熱が出入りするかを表す数値です。
UA値が小さいほど、熱の出入りが少ないということになり、断熱性能が高いと言えます。
本記事の後から出てくる「4.断熱性能等級とは?」にもあるのですが、日本全国の市町村区を8つの地域に分類し、その地域ごとに断熱性能等級と各等級に応じたUA値が定められています。
例えば東京23区は6地域に分類され、
0.87以下:省エネ基準適合住宅。現行法(令和6年8月時点)で定められた最低限の断熱性能を満たす住宅(断熱性能等級4)
0.60以下:高断熱住宅。一般的な住宅よりも高い断熱性能を持つ住宅(断熱性能等級5)
0.46以下:高性能住宅。現行法の省エネ基準を大幅に上回る高断熱な住宅(断熱性能等級6)
UA値(W/㎡・K)と断熱性能等級の関係はこのようになります。
断熱性能(UA値)を高めるには?
断熱性能を高めるには、以下の方法が一般的です。
断熱材の厚さや種類を変える
壁や天井、床などに性能の高い断熱材を充填したり、厚みを厚く施工したりすることで、断熱性能を高めます。
窓の種類を変える

https://www.lixil.co.jp/lineup/window/ew
窓は住宅で最も室内と外の熱が出入りする部位となるため、断熱性能の高いペアガラスやトリプルガラス、Low-Eフィルムが貼られたガラスにすることで、窓からの熱の出入りを抑えます。
そのほか
断熱性能を高めるとは少し違うアプローチですが、本記事で後から出てくる「5.光熱費を抑えるために!断熱と同じくらい大事なこと」もご一読くださいませ。
断熱材ってなに?どんなものがあるの?
断熱材とは、建物の壁、屋根または天井、床や基礎などに施工し、熱の出入りを少なくするようにする素材で、住宅の快適性だけでなく光熱費の削減にも大きく貢献します。
断熱性能が高い住宅は、暖房や冷房にかかるエネルギーと費用を抑えられ、ランニングコストを低減することができるため欠かせない材料なのです。また、適切に施工することで結露防止にも役立ち、住宅の寿命を延ばす効果も期待できます。
この断熱材には大きく次のような種類があり、それぞれに特徴があります。
①繊維系断熱材
繊維系断熱材は、ガラス繊維やロックウールなどの繊維、古紙を原料とした断熱材で、繊維と繊維の間に空気を多く含むことで、熱を伝えにくくする性質を持っています。材料によっては、調湿性や防音性にも優れています。
・グラスウール


https://www.pgm.co.jp/items/product_sun.html
繊維と繊維の間に空気層を多く含み、これが熱を伝えにくくしています。比較的安価なうえ軽量で扱いやすく、カッターなどで簡単にカットすることができ、壁や天井、床など様々な場所への施工がされています。また、繊維が音を吸収するため、騒音対策にも効果が期待できます。原料がガラスであるため、燃えにくいことも特徴です。
一方で湿気に弱く、吸湿すると断熱性能が低下する恐れがあるため、グラスウールと湿気を断つ、もしくは湿気が入っても外気に抜けるような工夫が必要になります。
・ロックウール

https://majime-house.jp/rockwool/
玄武岩などの天然岩石を高温で溶かして繊維状にした断熱材で、耐火性に優れていて、壁や天井、床など様々な場所への施工がされています。
また、繊維が音を吸収するため、防音性にも優れていて、特に高音域の防音効果が期待できます。
一方でグラスウールと同じように湿気に弱く、吸湿すると断熱性能が低下する恐れがあるため、ロックウールと湿気を断つ、もしくは湿気が入っても外気に抜けるような工夫が必要になります。
・セルロースファイバー
古紙や木材などのパルプを原料とした断熱材のため、環境に優しい素材で、調湿性や防音性にも優れています。調湿性(吸放湿性)があるため、室内の湿度を快適な状態に保ち、結露やカビの発生を抑える効果が期待できます。また、吸音効果も大いに期待ができ、これもセルロースファイバーの大きな特徴です。
こちらも壁や天井、床など様々な場所への施工がされています。
一方で、上記のグラスウールやロックウールと比べるとコストアップになりやすい材料でもあります。
②発泡プラスチック系断熱材
発泡プラスチック系断熱材は、ポリスチレンやウレタンなどのプラスチックを泡状に発泡させることで、小さな気泡がたくさんできるため、熱を伝えにくくする性質を持つ断熱材です。種類によっては高い耐水性を持っており、湿気の多い場所にも適しています。
同じ厚みの場合、繊維系断熱材よりも断熱性能とコストが高いものが多いのが特徴です。
ポリスチレン樹脂を高温で溶かし、押し出しながら発泡させ、小さな気泡をたくさん含んだ状態で板状に押し出した断熱材です。軽量で施工性が高く、カッターなどで簡単にカットできることが特徴です。高い断熱性能と耐水性に優れていて、床や基礎、壁など様々な場所へ施工がされています。
・押出法ポリスチレンフォーム

https://www.co-jsp.co.jp/product/kentiku/mirafoam

耐水性に優れていることから、玄関などの土間床の下に敷き込む断熱材として使用されることもあります。
・硬質ウレタンフォーム

https://www.achilles.jp/product/construction/insulation/q1-board

イソシアネートとポリオールを混合させて製造される板状の断熱材で、軽量で施工性が高く、カッターなどで簡単にカットできることが特徴です。高い断熱性能を持つことから、床や基礎、壁など様々な場所へ施工がされています。
・現場発泡吹付け硬質ウレタンフォーム


イソシアネートとポリオールを混合させて現場で発泡させ、吹き付ける断熱材で微細な気泡構造を持つため、熱を伝えにくく断熱性に優れています。また、発泡時に周囲の素材に強く接着し、隙間なく施工することができるため、気密性にも優れていて、基礎や壁、屋根など様々な場所へ施工がされています。
一方で湿気に弱いものもあり、吸湿すると断熱性能が低下する恐れがあるため、湿気を断つ、もしくは湿気が入っても外気に抜けるような工夫が必要になります。
・フェノールフォーム

https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/housing/lineup/neomafoam.html

https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/gene/ml.html
フェノール樹脂を発泡させて板状に成形した断熱材で、他の発泡系の断熱材と比べても断熱性能が高いのが特長です。また、熱に強く、燃えにくい素材の樹脂で作られているため、優れた耐火性があり、有毒ガスも発生しにくいので、火災時の安全性も高くなります。非常に高い断熱性能を持つことから、床や基礎、壁など様々な場所へ施工がされています。
一方で、同じ厚みの場合、他の発泡プラスチック系断熱材よりも値段が高いです。
住宅で断熱をする範囲って?

https://www.jfe-rockfiber.co.jp/construction/method.html
住宅の断熱は、壁、屋根か天井、床や基礎というように、外気に接する範囲を下から上まで途切れることなくすっぽりと施工します。
一部でも途切れてしまうと(断熱欠損)、そこが弱点になり、熱が出入りしてしまうだけでなく、結露の原因になってしまいます。この結露の場合、大抵は目に見えない構造体の中などになるため、気が付かないうちに結露で住宅が劣化していくというような恐ろしいことになってしまうのです。こういった断熱欠損以外にも、構造体内に湿気が入って抜けない場合にも結露が起きる原因となりますので、対策が必須です。
また、断熱材とは少し違いますが、窓や玄関戸も外気に接する箇所になるため、断熱性能の高いものを使うと省エネに効果的です。

窓の断熱性能が低ければ、せっかく壁や天井を断熱しても、熱の出入りが多くなり、効果が薄れてしまいます。
実は、窓からは多くの熱が出入りするので、必要以上に窓を大きくしない、そもそも増やさないということも重要になります。
(窓を減らしたり小さくしたりすれば、コストダウンにも繋がります)
断熱性能等級とは?
住宅の断熱性能等級は、1~7の7段階で評価され、数字が大きいほど断熱性能が高くなり、より高い省エネ効果が期待できます。
日本全国の市町村区を8つの地域に分類し、その地域ごとに断熱性能等級と各等級に応じたUA値が定められています。
例えば、北海道夕張市は1地域、東京23区は6地域に分類されます。そこで、どちらにもUA値0.46W/㎡・Kの家を建てる場合、1地域においては断熱性能等級4となり、6地域においては断熱性能等級6ということになります。
これは寒い地域になるほど地域区分の数字が小さくなり、それに伴ってより断熱性能の高い家でないと、より高い省エネ効果が期待しにくいということです。
2025年度以降は全ての新築住宅に等級4以上が義務化され、一時は最高等級だった等級4は実質、最低等級になることが予定されています。
また、2030年以降は新築住宅すべてに断熱性能等級5以上の適合が義務化される予定です。
簡単に各断熱性能等級を紹介します。
- 等級1 昭和55年 省エネ基準未満(UA値:基準無し)
断熱材の使用が義務化されていないため、断熱性能が最も低い等級となります。
- 等級2 昭和55年 省エネ基準と同等(UA値:0.72~2.35W/㎡・K)
壁や天井に断熱材をし、熱損失等の小さな削減のための対策がされています。
- 等級3 平成4年 省エネ基準と同等(UA値:0.54~1.81W/㎡・K)
熱損失等の一定程度の削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱材を使用しています。
- 等級4 平成28年 省エネ基準と同等(UA値:0.46~0.87W/㎡・K)
熱損失等の削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱材を使用して、開口部(窓やドア)の断熱性能も向上させる必要があります。
- 等級5 ZEH水準の省エネ基準と同等(UA値:0.40~0.60W/㎡・K)
熱損失等の大きな削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱性能等級4よりもさらに性能の高い断熱材を使用し、開口部(窓やドア)の断熱性能も向上させる必要があります。この等級がZEH(ゼッチ)の基準となります。
(現役設計士としての感覚ですが、4地域まではこの等級までの断熱性能を実現することはコスト面、施工面共にそれほど難しくないように感じます)
- 等級6 平成28年 省エネ基準より冷暖房にかかる1次エネルギー消費量を概ね30%削減(UA値:0.28~0.46W/㎡・K)
熱損失等の著しい削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱性能等級5よりもさらに性能の高い断熱材を使用し、開口部(窓やドア)の断熱性能も向上させる必要があります。
- 等級7 平成28年 省エネ基準より冷暖房にかかる1次エネルギー消費量を概ね40%削減(UA値:0.20~0.26W/㎡・K)
熱損失等のより著しい削減のための対策として、壁、天井、床などに断熱性能等級6よりもさらに性能の高い断熱材を使用し、開口部(窓やドア)の断熱性能も向上させる必要があります。
光熱費を抑えるために!断熱と同じくらい大事なこと
ここまで省エネと断熱性能についてお話をしてきましたが、他にも断熱と同じくらい大事なことをご紹介いたします。
それは、気密性、太陽の日射、風通し、です。
中には注意しないとせっかく断熱性能を高めても、その効果が低下してしまったり、かえって断熱性能が高いことがデメリットになってしまうこともあります。
ここまで長くなってしまいましたが、夢のマイホームをより良いものにするため、どうかもう少しだけお付き合いくださいませ。
①気密性とは?

https://www.njkk.co.jp/product/tabid75.html?pdid=k_sh_10

住宅の気密とは、隙間を減らして外気の出入りを防ぐことです。隙間が多い住宅は、冬は冷たい外気が入り込み、夏は涼しい空気が外に逃げてしまうため、冷暖房のエネルギーを多く消費して、光熱費が高くなります。
気密と断熱は、密接な関係にあります。断熱性能が高い住宅であっても、気密性能が低ければ、せっかくの断熱性能が活かせません。例えば、冬にダウンジャケットを着ていても、そのチャックを閉めなければ、閉めた時と比べると暖かさを感じにくいかと思います。
また、気密性を高めることで結露防止にもなり、住宅の寿命を延ばす役割もあります。
このように気密性は、快適な住環境を実現し光熱費を節約するために非常に大事なことなのです。
気密性を表す数値として、C値(シー)があります。
C値とは?
C値とは、住宅の気密性を表す数値で、「相当隙間面積」とも呼ばれます。簡単に言うと、住宅全体にどれくらいの隙間があるかを示すもので、C値が小さいほど隙間が少なく気密性が高いことを意味します。
C値の目安
実はC値の基準は定められておらず、住宅メーカー毎の考え方や基準によります。木造住宅のC値は、概ね1.0㎠/㎡以下で高気密住宅と言われておりますが、現役設計士で現場の施工管理経験もある身としては、C値0.5㎠/㎡以下を目標の目安としたいところです。
C値の具体例

C値1.0㎠/㎡の場合、延面積100㎡の住宅であれば、住宅全体で100㎠(約0.7枚のハガキ)分の隙間があることになります。
C値0.5㎠/㎡の場合、延面積100㎡の住宅であれば、住宅全体で50㎠(約0.35枚のハガキ)分の隙間があることになります。
C値の測定の仕方と行うタイミング

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C値測定は、専門の測定機器を用いて行われ、一般的にブロアードアテストと呼ばれます。住宅の全ての窓やドアを閉め、換気扇などの開口部をふさぎ、測定機器をドアや窓に取り付けます。
測定機器を使って、住宅内から空気を外部へ排出し、このとき住宅内の気圧が低下し、隙間から入り込んできた空気の量を測定し、C値を算出します。
測定のタイミングは工事完了後に行う場合もありますが、もしこの測定で目標となる数値が出なかった場合、工事がすべて終わっているため、隙間をふさぐことが非常に難しい箇所が多くあります。
そのため、断熱材と気密部材が施工されたタイミングで測定するといいでしょう。もしこの測定で目標となる数値が出なかった場合でも、隙間を見つけてそこをふさぐことが比較的簡単だからです。基本的には完成後に見えなくなる断熱材や気密部材の施工前に測定することは、お勧めできません。
②太陽日射の遮り方(夏)と取り入れ方(冬)
夏は日射しが強くて室温が下がりにくい、冬は日射しが弱くて室温が上がりにくい、これは季節ごとに誰もが感じることかと思います。だからこそエアコンなどの冷暖房機器で温度調整をして快適に過ごそうとします。
もし日差しをうまくコントロールすることで、夏は涼しく冬は暖かくできたら、快適に過ごせるだけでなく、省エネにもつながっていくのです。
そのためには夏は日差しは遮り、冬は日差しを取り入れたくなります。
日差しを遮るために有効な方法は、
- 窓の位置と大きさを工夫する。特に東、西、北側の窓は不必要に大きくしない。
- 軒や庇を活用する。南側が照らされる時間帯は、太陽高度が高めのため特に有効。
- 高さのある樹木を植えると、壁に木陰ができる。落葉樹だと冬の日差しも取り入れやすくなるため、特に◎
- ハニカムスクリーンや遮光カーテン、ブラインドを使用する。



https://www.lixil.co.jp/lineup/window/external_blind
などが挙げられます。
日差しを取り込むために有効な方法は、
- 敷地の建物の配置を決める際に、隣地や周辺の状況を踏まえて、できる限り南側が広く空くように計画する。
- 南側になるべくLDKや寝室などの主要な部屋を計画する。
- 南側になるべく大きな窓を設ける。
などが挙げられます。
南側に大きな窓を設けた場合、冬はいいけど夏は暑い日差しがたくさん入ってしまう、と思われがちですが、ここで軒や庇があると夏の日差しを遮ってくれて、冬は太陽高度が夏よりも低いため、日差しが軒や庇の下を潜って遮ることなく、取り込むことができます。


このように太陽の日射は上手にコントロールすることができるのです。
逆に日差しを上手にコントロールしないと、夏は日差しを遮らないと窓からたくさんの光と熱が入ってきて、電気ヒーターのような暖房を点けながら冷房をするという状態になってしまいます。そして高断熱な家は良くも悪くも熱が逃げにくいため、窓から入った日差しの熱でかえって暑くなりやすくなってしまうのです。
また、冬の日差しは無料で手に入る暖かいエネルギーになりますので、活用できればできるほど省エネ効果を期待でき、昼間に取り入れた熱は室内に蓄えられるので、日が落ちてからも省エネ効果が期待できます。
③風通しの計画

住宅における風通しは、快適な居住環境を実現するために重要な要素で、特に夏場の暑さ対策においては、風通しの良い設計が重要となります。地域特有の風向き「卓越風」を活かして風通しを計画すると良いでしょう。
卓越風とは、ある地域で年間を通して最も頻繁に吹く風のことを指します。地域、季節、時間帯によってこの風向きは異なります。卓越風を知ることで、住宅の設計において風を取り込みやすい向きや窓の配置や開き方などを検討することができます。
例えば、冷房を点けるかどうか迷うような初夏の時期は、風の通りが良くなることで涼しさを感じられるようになるでしょう。
省エネ住宅について私が感じること
昨今、テレビCMやニュースなどでUA値や断熱性能等級について触れることも多くなってきたように感じます。これは省エネ住宅の普及を促進し、延いては政策本来の目的である温室効果ガスの削減に繋がることです。
しかし、断熱性能等級ばかりが取り上げられ、同じく大事な気密性や日射との付き合い方に目が行きにくくなっているようにも感じます。
UA値や断熱性能等級という数字で表されるものはある種分かりやすく、そのため各企業がアピールしやすいものかと思います。
さらにこれは住宅業界に身を置くひとりの感想ですが、断熱以外の気密や日射、通風についてはあまり重要視していない企業が多いようにも感じています。
これらの性能を高めるということはコストアップになりやすいため、すべてを高水準で実現することは難しさもあるかと思いますが、省エネ住宅をつくるのであればこれらも断熱性と同じくらい重要視する必要があるはずです。
住宅新築をお考えでここまで読んでくださり、もし「断熱とおなじくらい大事なことが他にもある」と感じた方は、住宅会社探しの際にぜひ「気密性はどう?」「日射については夏と冬でどう考えていますか?」「風通しはどう計画していますか?」と聞いてみてください。
そこできちんとした数字や計画が返ってくる会社を建築依頼する候補にしてみるものひとつではないでしょうか。
どうか皆さまの家づくりがより良いものになりますように。
最後まで読んでくださってありがとうございました。




